天外魔境II図解台詞集特集
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特集 > 【敵の仕分け】

■天外魔境IIに登場する敵を仕分けしてみたかった。

色違い(二色)
色違い(三色)
絵違い
妖怪系


【色違い(二色)】
 赤玉、碧玉を筆頭にもっと色んな色が居たような気がしたが、 体感よりも意外と少なかった。
赤玉

赤玉

碧玉

碧玉


こう惚の瞳

こう惚の瞳

赤い白昼夢

赤い白昼夢


剛鬼

剛鬼

赤剛鬼

赤剛鬼


赤手

赤手

手長

手長


鮮血鳥

鮮血鳥

明けガラス

明けガラス


イワヲ

イワヲ

カチ割り

カチ割り


あぶらぼう

あぶらぼう

燃えガシラ

燃えガシラ


硫黄の翼

硫黄の翼

闇からす

闇からす


岡金魚

岡金魚

魚獣

魚獣


海原の子守歌

海原の子守歌

魔海母子

魔海母子


おがみ入道

おがみ入道

裏念仏

裏念仏


ちょっきり

ちょっきり

縁切りバサミ

縁切りバサミ


黄金のハラワタ

黄金のハラワタ

鉛クラゲ

鉛クラゲ


地獄のタマ

地獄のタマ

黄金まねき

黄金まねき


首切虫

首切虫

鬼カミキリ

鬼カミキリ


オボ

オボ

飛びザル

飛びザル


オモイ

オモイ

呪老人

呪老人


火炎の舞い

火炎の舞い

凍竜

凍竜


千年仙女

千年仙女

火宮女

火宮女


狂犬

狂犬

影の牙

影の牙


人間凶器

人間凶器

影の化身

影の化身


カネダマ

カネダマ

さまよう小判

さまよう小判


ガラン

ガラン

タマかつぎ

タマかつぎ


鬼骨兵

鬼骨兵

殺人中毒

殺人中毒


きりいちべ

きりいちべ

肉の夢

肉の夢


黒い羽音

黒い羽音

金翼王

金翼王


腐った柔肌

腐った柔肌

波うつ肉汁

波うつ肉汁


草の兵隊

草の兵隊

土の忍軍

土の忍軍


首切り包丁

首切り包丁

泣く子いねか

泣く子いねか


小鬼

小鬼

青獣

青獣


血管もぐり

血管もぐり

死霊銀バエ

死霊銀バエ


燃え髪

燃え髪

凍る吐息

凍る吐息


惨殺王

惨殺王

紫色の接吻

紫色の接吻


マシャリ

マシャリ

屍の王者

屍の王者


死神

死神

死の商人

死の商人


ヤト

ヤト

邪赤竜

邪赤竜


人面ウジ

人面ウジ

背徳の穴

背徳の穴


百面師

百面師

人面狩り

人面狩り


とうてつ

とうてつ

双角

双角


沼坊主

沼坊主

月のしたたり

月のしたたり


ナジャラ

ナジャラ

土縄

土縄


テンビ

テンビ

ムラタマ

ムラタマ


ヤズカ

ヤズカ

母なる病巣

母なる病巣


魔海蛇

魔海蛇

緑の滑空隊

緑の滑空隊


冥府の猟犬

冥府の猟犬

欲望の犬

欲望の犬




【色違い(三色)】
 色違いが多いのはサイズの小さい敵なことがわかった。 空爪、夜翼、飛びガラは異例の敵だ。 緑の牙、犬顔、吠える花びらの見分けがつく人は居るのだろうか。
双頭

双頭


赤い絞殺魔

赤い絞殺魔


ミズチ

ミズチ



夜の右手

夜の右手


赤い爪跡

赤い爪跡


死手

死手



赤えな

赤えな


ウツロ

ウツロ


シオノメ

シオノメ



化け根

化け根


足喰い

足喰い


闇かずら

闇かずら



緑の牙

緑の牙


犬顔

犬顔


吠える花びら

吠える花びら



鬼の華

鬼の華


花のくちづけ

花のくちづけ


肉の花ビラ

肉の花ビラ



花畜

花畜


満開地獄

満開地獄


堕落の花園

堕落の花園



松葉の貴公子

松葉の貴公子


緑の肉弾

緑の肉弾


渇きの面

渇きの面



空爪

空爪


夜翼

夜翼


飛びガラ

飛びガラ



ヒダネ

ヒダネ


飛び火

飛び火


ホムラ

ホムラ




【絵違い】
 RPGでは所持している武器(棍棒や斧など)や、画像の一部を変更することによって 別の敵として出す省エネモンスター増加技術がある。 だが天外魔境IIではその手法が使われる事があまりなく、唯一この黄金虫と黄金のハラワタだけになる。
しらぬいと魔炎猟犬の2コマアニメ  しらぬいと魔炎猟犬については絵も色も違う異例中の異例敵。 瞳の有無、耳の形、アゴの形が少々違うものの、顔のほとんどと手の位置が同じなのがわかる。 どちらが先かはわからないが、どちらかを元に修正されたのではないかと思われる。 個人的にはしらぬいが完成形かなぁと思う。
しらぬい

しらぬい

魔炎猟犬

魔炎猟犬


黄金虫

黄金虫

黄金のハラワタ

黄金のハラワタ




【妖怪系】
 妖怪や怪物、神様の類の伝承、伝説、説話が元ネタになっているであろう根の一族をまとめてみた。 結構細かいネタを拾っていたりしていてすごいなと関心しつつも、 出現場所に関しては全く無頓着(茨城の伝説なのに岐阜にいるなど)なことが多いのは実に残念だし勿体ない。 エンタメとして「ジパングだから」で面白おかしくすることは良いと思うが、 「ジパングだから」で手抜きをするのは違うと思う所である。
 元ネタが同一だと思われるものは五十音順で先に居る方を出している。
 菊五郎の友達である「花吹雪 典善」「くちなわ姫」「突撃!角太郎」についてギリシア神話元ネタとしたのだが、 どうしても「黒の海老蔵」に関連するギリシア神話ネタが見つからなかったのが無念である。 妖怪とも違う話になるのでここに書いておくと、 1741年に初代・尾上菊五郎が二代目・市川海老蔵と大阪でやった『鳴神』で人気を博した……というあたりが、 私が見つけた菊五郎と海老蔵の関連性である。 ただ、ご存じの通り天外IIのカブキ団十郎の元ネタは市川團十郎であり、 その幼名を元にした名跡が市川海老蔵であり仲間なわけだ。 それをなぜ敵として出したのか……ちょっとよくわからないのである。

赤玉

赤玉

あぶらぼう

あぶらぼう

ウブメ

ウブメ

ウロコの貴婦人

ウロコの貴婦人

縁切りバサミ

縁切りバサミ

オボ

オボ

オモイ

オモイ

火炎車

火炎車

かけつぼ

かけつぼ

カシャンボ

カシャンボ

カネダマ

カネダマ

カブソ

カブソ

ガラン

ガラン

がん坊

がん坊

キツネ火

キツネ火

きりいちべ

きりいちべ

くちなわ姫

くちなわ姫

小鬼

小鬼

ゴズノ王

ゴズノ王

サカテ

サカテ

死神

死神

死に化粧

死に化粧

死の宴

死の宴

シャグマ

シャグマ

ショウジョウ

ショウジョウ

しらぬい

しらぬい

蛇ノ目

蛇ノ目

スダマ

スダマ

葬式音頭

葬式音頭

ダキニ

ダキニ

チミ

チミ

手長

手長

テンギャン

テンギャン

テンビ

テンビ

闘将アスラ

闘将アスラ

とうてつ

とうてつ

突撃!角太郎

突撃!角太郎

泣く子いねか

泣く子いねか

ナベかぶり

ナベかぶり

ヌラリヒョン

ヌラリヒョン

花吹雪 典善

花吹雪 典善

はまぐり姫

はまぐり姫

化け地蔵

化け地蔵

人喰い鳥

人喰い鳥

火ねずみ

火ねずみ

火吹き

火吹き

ふくべ

ふくべ

伏雷

伏雷

ふすま

ふすま

フッコ

フッコ

震える細腕

震える細腕

水鬼

水鬼

ミズチ

ミズチ

ムラサ

ムラサ

冥府の猟犬

冥府の猟犬

メズノ王

メズノ王

モウリョウ

モウリョウ

燃え髪

燃え髪

ヤタガラス

ヤタガラス

ヤト

ヤト

闇の乙姫

闇の乙姫

妖虎

妖虎

ろくろ亡者

ろくろ亡者




赤玉

赤玉


 『百鬼夜行絵巻』と言われる絵巻物はいくつかある(昔の書物は基本的に手書きの模写だ)が、 その中で見られる妖怪のひとつが元ネタだろう。 ただしこの絵巻は図鑑系ではなく本当に絵だけなので名前などは特に記載されているものではない。 この「赤玉」という名称は天外IIスタッフによる命名と思われる。 以下にも同様の妖怪が出るが、その際はこのような詳細を省く。
 個人的にはこんな存在を全く知らなかったため、 その造形から察するに「適当に弱そうな敵を作ったんだろうなぁ」などと思っていた。 ちゃんと元ネタがあったとは。


あぶらぼう

あぶらぼう


 『古今百物語評判(ここんひゃくものがたりひょうばん)』(山岡元隣)巻之三、第七「比叡の山中堂油盗人と云ふ化物 付 青鷺の事」などに見られる滋賀、京都に伝わる怪火。 「油坊」、またの名を「油盗人(あぶらぬすっと)」が名前の元ネタだろう。 比えい山の油を盗んだ僧侶の変化と言われる。 場所や伝承により姿は様々だが、「怒りの形相の坊主の生首が火炎を吹いていた」という証言が元の姿だと思われる。 元が僧侶だから文殊の巻物を使うのだろうか。
 昔の絵も残されているが生首は一つなので、トリオなのは 「モンスターデザインをした人のアレンジ」、 「絵が先であとから近い伝承の妖怪名をつけた」、 「舞首のつもりで描いた絵にあぶらぼうという名がつけられてしまった」あたりだろうか。 舞首は三つの首が火を吹きながら飛んでいる妖怪で、この絵に近い。


ウブメ

ウブメ


 『図画百鬼夜行』(鳥山石燕)などにもある「姑獲鳥」、または「産女」が元ネタだろう。 難産で死んだ女性の霊が妖怪化したもの。 伝承によっては鳥の姿を取るものもある。 「人の赤子を奪う」という性質の他に、「人に赤子を抱かせる→赤子が抱いた人を噛み殺す」という場合もあり、 天外IIのウブメは後者のものと思われる。しかし、そのような妖怪の性質っぽい行動は特にしてこない。


ウロコの貴婦人

ウロコの貴婦人


 『図画百鬼夜行』(鳥山石燕)における「濡女(ぬれおんな)」が元ネタと思われる変名キャラ。 蛇の体を持つ濡れた長髪の女で海や川など水辺に現れる。 伝承により人を喰う、牛鬼の使いなど特に一定しないが、 後者の「牛鬼の使い」は「人に赤子を抱かせる→赤子が重りになって動けなくなる→牛鬼が食べる」という手順らしく、 ウロコの貴婦人の使う「麻痺(ウロコをふるわせた)」とちょっと近いかもしれない……ちと強引か。 とにかく妖怪画はやたらと残されているらしい。妖怪として見栄えがいいのだろう。


縁切りバサミ

縁切りバサミ


 『百鬼夜行絵巻』に見られる妖怪が元ネタだろう。名前は天外IIオリジナル。 ハサミの形状から察するに糸切ハサミの付喪神か。 糸切ハサミだから懐に飛び込むっていう感じはわからなくもない。


オボ

オボ


 福島県の一部では「ウブメ」の類を「オボ」というらしいのでこれが名前の元ネタか。 「ウブ」の方言が「オボ」だそうでいわゆる新生児のこと。 「ウブメ」の項目で書いた「赤子を抱かせる→赤子が抱いた人を噛み殺す」というパターンのその赤子をイメージしたキャラではないかと思われる。


オモイ

オモイ


 山梨県に伝わる妖怪「オモイ」が元ネタか。人の思い(心、思考)を読める。 この類の妖怪なら「覚(さとり)」あたりのほうが有名だと思うが、 これらは大体同じような存在で、かなり多くの場所に似た話が多い。
 人を喰う化物らしいのに、 オモイに会った人は逃げ出すでもなく薪割りの仕事をし続けていたり、 その人を喰おうとしたオモイは飛び散った木の破片を受けて逃げてしまうなど、 いまいちその脅威の程が伝わらない。 出会っても一目散に逃げる感じではないとすれば、 ただのジジイのようなこの天外IIにおける見た目も納得ではある。


火炎車

火炎車


 『付喪神絵巻』によく似た絵があるこれが元ネタだろう。 この絵巻の物語的には「すす払いで捨てられた古道具の一つが付喪神になったもの」であり、特に名前は持たない。 その形状から察するにどうやら「法輪」のようなのだ。 「法輪」は仏教の教えを具現化した法具の一つで、 モチーフとなっているのは車輪ではなくチャクラム(輪状の投擲武器)なのである。 多くの法輪において車輪におけるスポーク(日本語では輻{や}というらしい)のような部分が剣っぽい形状をしているが、 この先端か何らかの飾りが輪から突出している。よく見れば火炎車もちゃんと出っ張っている。 車輪だとしたらこれではガタガタで走れない。
 「車輪に炎」のような妖怪は「輪入道」や「方輪車」がいるので、 それらの亜種と思ってしまうのも無理は無い。 かく言う私も調べるまでは知らなかった。


かけつぼ

かけつぼ


 『百器徒然袋(ひゃっきつれづれぶくろ)』(鳥山石燕)という妖怪画集の巻之下に見られる「瓶長(かめおさ)」が元ネタと思われる。 顔つきや水の表現がそっくりです。 本のテーマ的に瓶の付喪神なのだろう。 「水を汲んでも汲んでも無くならない、夢のような瓶」らしい。 悪いやつではなさそうだ。


カシャンボ

カシャンボ


 紀伊南部に伝承される妖怪「カシャンボ」が元ネタだろう。 ……なんで紀伊に出さなかったんでしょう? 河童と同一視されることもある。 何かといたずらをして人を困らせるらしいあたりは、 時限爆弾を投げてくるのが近いか。


カネダマ

カネダマ


 『今昔図画続百鬼』(鳥山石燕)などにある「金霊(かねだま)」が元ネタだと思われる。 善行に努める者の家にお金を大量に落としていく。姿らしい姿は無いので、 天外IIの姿は大量に落とされているお金をその姿としているものと思われる。 決して人に危害を加えるような存在ではないのだが、 そこは一応根の一族なので……しかしなんでこんな形になることを選択したのだろうか。


カブソ

カブソ


 『今昔図画続百鬼』(鳥山石燕)などにある「獺(かわうそ)」の石川県あたりでの呼び名が「カブソ」なのでこれが元ネタか。 この画集では笠を被った猫のように見える。 子供や美女に化けて人をおちょくる無害な感じもあれば、人を殺すような話もあるらしい。
 人を化かすような伝承がタヌキやキツネに似ているから、 天外IIではタヌキっぽい見た目になっているのだろうか。 一見金髪リーゼントのようだが、おそらく笠です。 これまた越前(石川県)に出ずに長門(山口県)に出る。


ガラン

ガラン


 「伽藍(がらん)」という神様が元ネタか。 天外IIではしょーもないコソ泥のような雑魚敵であるが、 漢字で「伽藍」と書く事からわかるように結構格式の高い神様。 全ての寺に存在していてそれを守る大変に威のある存在。 災害を退けたり、粗末に扱うものにはしっかり罰を与えたり、 なかなか民草と近しい雰囲気を感じる。 そんな守り神をお祀りする場所が「伽藍堂」という話もある。
 一方で「僧伽藍摩(そうぎゃらんま)」の略であり、 「僧侶が集まって修行する清浄な場所」という意味もある。 主に雨の日などの修行の場なので、晴れている日は結構な広さのお堂に誰もいない事になる。 これが誰もいない様子「がらんとしている」の語源とされている。 ガラン(伽藍さま)の存在はそんな誰もいない所でも 綺麗に保つために考えられた教えなのかもしれない。


がん坊

がん坊


 『異魔話武可誌(いまはむかし)』(須原屋茂兵衛)などに見られる「びいがん御坊(びいがんこぼう)」 辺りが名前と容姿的に近く元ネタではないかと思われるがどうだろうか。 その元ネタは絵と名前のみで特に話は無いものなので、 果たしてこいつが何なのかはわからない。 よくよく見ると米俵を担いだ蛙のようにも見える。 茶色い部分は髪なのか、蓑かなにかなのか。見れば見るほどよくわからないヤツだ。


キツネ火

キツネ火


 『今昔図画続百鬼』(鳥山石燕)などにある怪火のひとつ「狐火(きつねび)」が元ネタだろう。 主に冬に火の気のない所に現れる火。出たり消えたり隊列を成していたりとバリエーションは様々。
 『信州百物語:怪奇伝説』(信濃郷土誌刊行会)に「人骨をかぢる狐の話」がある。 人の火葬をしているそばで人骨をかじっている狐を見つけ、目が合うと狐は骨を咥えたまま山へ逃げ去った。 その際、青白い火が狐のあとに点々と燃えていたという。 天外IIのキツネ火は同様に「口にくわえた骨が青白い火を放っている」ことから、 おそらくこの話を元に一つのキャラクターとして仕立て上げたものだと思われる。


きりいちべ

きりいちべ


 新潟県あたりの昔話を集めた『加無波良夜譚(かんばらよばなし)』(文野白駒)に話がある妖怪「桐一兵衛(きりいちべえ)」が元ネタだと思われる。 峠を歩いていると「早く歩いてお父様に抱かれ」と言いながら追ってくる謎の子供で、 斬り付けて真っ二つにすると片割れごとに元の姿に戻る。つまり二人に増えてしまう。 そもそも知らない子供をいきなり真っ二つにするなよと思う所ではあるが、妖気を感じたんだから仕方ない。 斬っても斬ってもどんどん増えるが朝になると去る。
 これまたよくある「新潟の妖怪なのに新潟に出ない」やつ。天外IIでは吉備(岡山県あたり)に出現する。 頭だけが二つになっているので、体を真っ二つにせずに首辺りで斬るのをやめたのだろうか。 プラナリアみたいなやつだ。 右手の後ろにあるのは胴体の残り? なのか尻尾のようなものなのか? 腕の関節も無くうねうねとしており、どう見ても普通の人間のようには見えない。


くちなわ姫

くちなわ姫


 天外IIにおいて紀伊・清姫村で戦う事から察するに「安珍・清姫伝説」の清姫がモデルだろう。 生きている人間なので、妖怪というより生霊、または変化といった言い方が正しいかもしれない。 姿のモデルは「蛇女」のイメージとして有名な「メデューサ」だろう。
 「安珍・清姫伝説」とは、熊野にお参りにきたスーパーイケメン僧「安珍」に一目ぼれした「清姫」が 安珍に強く迫るものの「また帰る時に会おうね」とあしらわれる。 しかしこの口約束が果たされる事はなく、清姫怒りの追走。 常軌を逸した清姫は次第にその姿を変容させていく。 川を渡った安珍を追いかけて川に飛び込んだ清姫の体はついに龍蛇に成り果てる。 安珍は逃げ込んだ道成寺にあった釣鐘を下ろしてもらい中へ逃げ込むが、 清姫はそのまま火を吹いて鐘ごと安珍を焼き殺す。恨みを果たした清姫は入水自殺。
 大本の話は『大日本国法華験記(だいにほんこくほっけげんき)』(1040年頃)にあるとても古い話。 この巻はいわゆる仏教の説話集。 なので清姫の入水自殺後は法華経の功徳で成仏しただとか、 色々と仏教の有難さを讃える話で終わるものである。 また、最初から安珍、清姫の名があったわけでもなく、 伝承されるにしたがって付与されていった名称であり、 先述の大雑把な物語のあらましも、伝える人や媒体によって色々と差異があると思われる。 まぁ昔話なんてそんなもんである。
 「メデューサ」(メドゥーサとも)はギリシア神話に登場する怪物。 見たものを石にしてしまうことで有名なヤツ(石のように硬直してしまうというタイプもある)。 ゴルゴン三姉妹の三女でポセイドンの愛人でペガサスの母、エキドナの祖母にあたる。 アテナの神殿でポセイドンと致している事をアテナに知られ怪物に変えられる。 さらにアテナの助力を得たペルセウスに首を狩られ、 アテナに献上された首はイージスの盾に付けられた。 ちなみにポセイドンはアテナよりランクが上なのでお咎めなし、というか咎めることが出来なかったらしい。 ほんと、神話ってのはめちゃくちゃですね。


小鬼

小鬼


 言わずと知れた鬼。角のある化物、地獄の獄卒、畏れ敬われる神など、その存在の有り様は数々あるが、 ごく一般的に鬼といえば「角がある、赤または青い肌、虎柄の腰布を纏う」といったイメージだろう。 ただし天外IIのこの小鬼は名前の通りやけに小型だったり指が三本だったり長い尾があったりと普通の鬼とは何か様子が違う。 天外IIには物語に普通に鬼族がいるので、「そのまんまの鬼」を敵として出すことを避けた……とかあるのだろうか。


ゴズノ王

ゴズノ王


 牛の頭を持つ鬼で地獄の獄卒(亡者を苦しめる役)の一人、牛頭(ごず)がモデルだと思われる。 馬頭とセットで「牛頭馬頭」と表現される事が多い。 天外IIでもメズノ王とセットで出てくる事から間違いないだろう。 地獄の管理人の一人なので妖怪というより神仏の類なのかもしれない。 実際、神仏習合で「牛頭天王」という名で祀っている神社もある。


サカテ

サカテ


 中国、日本に伝わる妖怪の足長手長の手長がモデルではないかと思われる。 足長手長は足の長い「足長」が手の長い「手長」を肩車した、二人一組の妖怪。 元は中国の書物に書かれた手や足の長い国の人たちの話が伝わっていくうちに妖怪化されたっぽい。
 天外IIにおける「足長」だろうと思われる「葬式音頭」と見た目が近い事からも、 おそらくこの「サカテ」とセットなんだろうなという気がする。
 「デザイナーと命名者が違うのかな」と思われる所が散見される天外IIのモンスターたちだが、 サカテもそれな気がする。命名者が足長手長を知らなかったのかなと。 「手で歩いてるから手と足が逆……サカテだな!」みたいな。 と思ったら、天外IIには「手長」という敵がちゃんと居る。う〜ん?


死神

死神


 今一般的に死神というと「死期の訪れた人をあの世に送る神様」みたいなイメージが多いのではないかと思うが、 日本の古い民話における死神は「人を死に導く悪霊」のようなものだった。 ただ、天外IIの死神は単純に「めっちゃ人を殺すやつ」くらいのノリの存在ではあると思う。 だがその強さの程はというと、名前負けにもほどがあるクソザコだ。
 おでこのピンク色の部分は、根の一族の紋章……だとしたらもうちょっと書き込めただろうと思うし、 ただの痣だとしたら妙に規則的な柄に見える。果たしてこれが何なのかはいまいちよくわからない。


死に化粧

死に化粧


 『百鬼夜行絵巻』と言われる絵巻によくいるやつが元ネタだろう。 薄布の前で鏡を前に化粧をしているお歯黒の醜女で、手足は獣なことが多い。 一体どういう妖怪がどういうシチュエーションでそうしているのかはまったくわからない。 色彩は大胆にアレンジされているしお歯黒でもないが、まぁこれがモデルで間違いないと思う。
 「死化粧」は遺体を整えるための化粧。「会ったら死化粧をするハメになる」的な妖怪の名としてよく出来ていて、 うまいな〜と個人的に関心しました。 殺される事そのものではなく、死後の事が名前になるというのはなかなか強者感ある。 ……まぁ実際は出てきたら楽勝出来る安心の雑魚なのだが。


死の宴

死の宴


 『百鬼夜行絵巻』と言われる絵巻によくいるやつが元ネタだろう。 頭の扇子、大きな頭、牙に長い耳とするどい爪のある手足、赤い羽織物。 名前はわからないし、該当しそうな有名な妖怪も思いつかない。
 天外IIでは色彩を変えて日の丸の扇子を持たせて宴っぽさが出ている。 かなりサイズが大きく、初見ではビビるが安心の雑魚である。


シャグマ

シャグマ


 四国に伝わる妖怪「赤シャグマ」が名前の元か。 赤い髪の子供のような容姿をしており、家に住み着くと栄え、去ると没落するという。 座敷童の仲間かもしれません。 天外IIでは名前に「赤」がありませんが、「赤」の無い「シャグマ」という存在が出る話もあり、 そちらも赤い髪だそうなのでおそらく同じような存在だと思われる。 伝わっている土地によって見た目や性質にちょっとした差異があるのはこの手の話の常である。
 天外IIにおける見た目は完全に四つ足の獣で、髪が赤でもない。 どうしてこいつにシャグマという名前をつけたのか、いまいち想像がつかない。


ショウジョウ

ショウジョウ


 中国の伝説上の生物。人語を話せて顔が赤くて酒が好きらしい。 顔どころか全身(体毛)も赤い事が多く、 「赤い」または「酒が好き」という特徴のあるものにはよく「ショウジョウなんとか」 という名前がつけられることがあるくらい有名なやつ。 人語に関してはわからないが、ほとんどただの猿のようなものな気がする。
 天外IIにおけるショウジョウは赤いどころか真っ青だし、 体毛どころかツルッツルだし(頭髪は長いが)、 どうしてこいつに「ショウジョウ」という名前をつけたのか、まったくの謎である。


しらぬい

しらぬい


 九州に伝わる怪火「不知火(しらぬい)」が名前の元ネタか。 様々な条件の揃った海上に現れる火の集団。 『今昔画図続百鬼』(鳥山石燕)のような妖怪を扱う書物の他、 『日本書紀』などの歴史書にも登場する。 実の所ただの自然現象なので実在し今でも見られます。
 基本的にはただの火なので、天外IIのように犬(狐か?)の顔や手があるようなものではない。 海に出現する妖怪なのに犬ってのもおかしな話だし。 あまり「不知火」について知らない人が「火みたいなやつだし……まぁしらぬいでいいか」 と適当に名付けをしていそうである。 でもそのわりにちゃんと水上に出る(地上でも出るが)あたり、 なんとも色々とちぐはぐな感じがする。


蛇ノ目

蛇ノ目


 『百鬼夜行絵巻』と言われる絵巻によくいるやつが元ネタだろう。 これも名前も性質も不明。傘のようなので付喪神的な妖怪だろう。 天外IIでは色彩鮮やかに、着物も豪華にアレンジされている。 名前は和傘で人気の柄のひとつ「蛇の目」が元ネタだろう。 傘を開いて真上から見た時に真ん丸の円に見える柄で、蛇の目に似てるためそう名がついた。 ただ、天外IIの「蛇ノ目」は残念ながら蛇の目の柄があるようには見えない。 「蛇の目」の意味を知らず、単純に傘のことをそう言うのだと思い名付けたのだと推察される。 元ネタに何の情報もないせいか特殊攻撃もないクソザコさんである。


スダマ

スダマ


 「魑魅」と書いてスダマと読むこいつが元ネタか。 山林木石の精霊。人を惑わすらしい。 あまり決まった特定の姿が無く、基本的に色んな化物の総称的な意味のほうが強いと思う。 「チミ」とも読み、まさに「チミ」という敵も天外IIには登場してしまう。 スダマと同一人物ということになるが、まぁ読みが違えば多少は姿も変わってくるかもしれない。
 スダマの左耳(向かって右側の耳)の上にあるのが尻尾だと思う。 じゃあ頭の上下にある赤いものは一体何なのか……? 個人的には鶏の鶏冠(とさか)のようなものだと思うのだがどうだろうか。 攻撃方法から何か探れれば良かったのだが、こいつは通常攻撃しかしてこない。 名前同様にいまいちはっきりしないやつである。


葬式音頭

葬式音頭


 中国、日本に伝わる妖怪の足長手長の足長がモデルではないかと思われる。 足長手長は足の長い「足長」が手の長い「手長」を肩車した、二人一組の妖怪。 元は中国の書物に書かれた手や足の長い国の人たちの話が伝わっていくうちに妖怪化されたっぽい。
 葬式で踊るという大変不謹慎な名前で実に敵らしい。 ただし盆踊りだとすれば意味は逆になる気もするが、 さすがに葬式で踊る事はないと思うのでやっぱりだめかな。 装備を外す行動も名前の嫌らしさを表現している。 手長の方がやりやすそうな行動ではあるが。
 デザイナーは「長い足がよく見えるように片足を上げた」のに、 命名者は「踊ってるみたいだな……なんとか音頭……葬式音頭だな!」 としたのかなと思われる。


ダキニ

ダキニ


 「ダーキニー」が元ネタの名前だと思われる。 ダーキニーは宗教や国ごとにその姿や性質、役割が全く違う。 神様だったり、悪神の眷属だったり、夜叉や羅刹女と様々。
 その有り様と同じく姿も数々あるが、 そのうちのどれも天外IIのダキニとは似ても似つかない。 ダーキニーはどこでも大体女性なことが多いが、 ダキニは女性のようには見えない。 外側が鱗で覆われ尾がある。まるでセンザンコウのようである。 なぜこれにダキニという名前をつけたのか、ちょっと予想もつかないのである。


チミ

チミ


 山林木石の精霊。人を惑わすらしい。漢字で「魑魅」と書く。 あまり決まった特定の姿が無く、基本的に色んな化物の総称的な意味のほうが強いと思う。 「魑魅」と書いてスダマとも読むので、スダマとチミは同一人物だと思われる。 が、天外IIでは別の敵として登場する。
 虹竜の効果がある技を使ってくるクソ珍しい敵だが、 この技が魑魅っぽさをよく出していると思う。 金色の体毛は猿のようだが、顔は爬虫類に近い。尾もあるし。 効果不明の「呪いをかけてきた」という特技も相まってよくわからない感が増している。


手長

手長


 中国、日本に伝わる妖怪の足長手長の手長が名前の元ネタではないかと思われる。 足長手長は足の長い「足長」が手の長い「手長」を肩車した、二人一組の妖怪。 元は中国の書物に書かれた手や足の長い国の人たちの話が伝わっていくうちに妖怪化されたっぽい。
 「サカテ」と「葬式音頭」も「足長手長」が元ネタだと書いたがそれは見た目の話。 こちらは名前と見た目両方である。 ただし天外IIでは顔すら手の形をしていて、とにかく手を推している。
 「葬式音頭」で「装備を外すのは手長の方がやりやすそう」と書いた通り、 ちゃんと手長は装備を外してくるし盗みも働く。


テンギャン

テンギャン


 「テンギャン」とはどこぞの方言で「天狗」の事。 昔「週刊少年ジャンプ」に同名の漫画がありました。 妖怪としては超有名で、山伏のような恰好で、赤い顔、長い鼻、翼を持ち、 ヤツデの葉のような団扇を持っているというのが一般的なイメージ。
 元は中国で凶事を告げる流れ星の事を「天狗」と言っていた。 隕石が地表付近まで到達した際の爆発にびっくりしていたらしい。 今でもそんなことがあったらニュースになるんで昔ならそりゃそうだろう。 それが回りまわって伝言ゲームで今の天狗になった。 人の話なんていい加減なもんである。
 天外IIの「テンギャン」は山伏っぽい恰好はしているものの、 顔は赤くないし、翼(のようなもの)は頭から生えているし、手は鳥の足だしと、 通常考えられる天狗のイメージとはかなり異なる。 一見すると天狗だが、よく見ると天狗じゃない。なんとも不思議なデザインである。 天外IIには物語の主要人物に普通に天狗がいるからなのかもしれない。


テンビ

テンビ


 日本各地に伝わる怪火「天火(てんび)」が元ネタか。 土地ごとに詳細は異なるが、大体は「出元不明の浮遊する火」「家に入ると不幸になる」 というのがほとんどの共通認識になる。 現代だって家に火の玉が入ったらそりゃ不幸にもなりますわな。 基本的にただの火のようなもので擬人化されておらず、 天外IIのように顔は無い。


闘将アスラ

闘将アスラ


 インドにおいて神々(デーヴァ)と対立する存在のことを「アスラ」という。 これが名前の元ネタだろう。 というわけで特定の一柱の神の名前ではない。 アスラに属する神の名前としては「ヒラニヤカシプ」「バリ」「ヴァラ」「ヴリトラ」「ラーフ」「ジャランダラ」 と、あまり一般的でない(と私は思う)名前の神様が並ぶ。「ヴリトラ」は何かで聞いた事があるかなといった所か。
 「アスラ」は「阿修羅」と同一視されることもあるが、 「阿修羅」は仏教に取り入れられてまったく別物の存在になった「アスラ」である。 最高神の帝釈天(インドラ)に娘を奪われて戦いを挑んだ後に、 なんやかんやあって仏教を守護する八部衆になった。 三つの顔と六つの腕を持つ姿で表される事が多い。 「闘将アスラ」とは関係ないと思われる。
 神々と対立するアスラという名をつけられたからには、 おそらく千年前もマリと戦ったのかなぁと思いを馳せずにはいられない。 ただの戦士然とした見た目をしながら器用に補助系の特技を使うのはさすがである。


とうてつ

とうてつ


 中国神話の怪物「饕餮(とうてつ)」が元ネタか。 体は羊、曲がった角、虎の牙、人の顔がオーソドックスな感じらしい。 「渾敦(こんとん)」「窮奇(きゅうき)」「檮木兀(とうごつ)」(←木偏に兀で一文字です) と並んで天下に害を成した四柱の神。四凶(しきょう)とされるやべぇやつ。 「饕」は財産、「餮」は食物を貪るという意味らしい。 容姿なんかはまさに天外IIの「とうてつ」そのままといっていいと思う。


突撃!角太郎

突撃!角太郎


 ギリシア神話に登場する牛頭人身の怪物「ミノタウロス」が元ネタではないだろうか。 神話においてクレタ島のミノス王の妻パシパエが、 なんやかんやあって(調べると面白いよ)牛との間に出来た子がミノタウロスになる。 実にやべぇ話なのである。 ミノタウロス自体に罪は無いのに、ラビリンスに閉じ込められたり、 テセウスに殺されたり実に散々な人生である。悪いのはミノス王です。
 牛頭の人というと「牛頭」もいるが、こっちはこっちで「ゴズノ王」というのが天外IIにはいるのと、 同じく菊五郎の友達であるところの「くちなわ姫」のデザインモチーフがギリシア神話の「メデューサ」なあたりから、 こちらもギリシア神話のミノタウロスじゃないかと考えた次第です。


泣く子いねか

泣く子いねか


 秋田県の「なまはげ」が発する有名なセリフ「泣く子はいねぇか」(なぐごはいねが〜)が元ネタか。 手に持った武器、蓑あたりはそれっぽいものの、 もっと印象的な角や赤、または青い顔にはならなかったのか。 ちなみになまはげは夫婦一対で、赤い顔がじじい、青い顔がばばあだそうです。
 天外IIの舞台である大和地方は日本でいうところの中部、中国、近畿地方あたりなので、 秋田県は天外Iの舞台である坂東地方にあたる。 なんでIIで出しちゃったのかな? と思う敵である。


ナベかぶり

ナベかぶり


 『百鬼夜行絵巻』と言われる絵巻によくいるやつが元ネタだろう。 その元ネタだろう絵ではほとんどの場合で取っ手のようなものは見えない。 ナベっぽく見えないから付け足したのだろうか。 また「ナベかぶり」は木刀を振りかぶっているように見えるが、 元ネタだろう絵では天秤棒を担いでおり、棒の両端には色んな生活用具をぶら下げている。


ヌラリヒョン

ヌラリヒョン


 昔の妖怪画によく登場する「ぬらりひょん」が元ネタだと思われる。 頭のでかい不精なじじいといった容貌がそのまま。 絵と名前だけでどのような妖怪なのかは不明。 普通は各地に伝わる民話や伝承があるものだが、ぬらりひょんにはそういうものすら全くない。 絵を描かれたり、その絵から想像した解説文などを経るごとに創作、脚色されて、 現代の「妖怪の総大将」的な立ち位置になってしまった。 詳細が無かったが故に現代に適応した妖怪といえるのかもしれない。
 個人的には水木しげる世代なので 「いつの間にか家に上がり込んで主人面をする妖怪」 という印象が強く、初めて総大将扱いされているのを見た時は「はぁ?」と思ったものである。


花吹雪 典善

花吹雪 典善


 「くちなわ姫」「突撃!角太郎」をギリシア神話が元ネタだとしたので探しました。 典善はおそらくアネモネが元ネタ! もはや妖怪じゃないが、神様の類も扱っているので、 神話系もよしとしたい。
 これは愛と美の女神アフロディテが 寵愛した美少年アドニスを失った時に流した血(諸説あり)から生えた花がアネモネなのだそう。 菊五郎も「愛と美の戦士」を自称しているので、自分をこのアフロディテと重ねているのかも。 このギリシア神話と典善を合わせると、 典善は菊五郎が愛した美少年の成れの果てのようなもの……だったりするのだろうか? 菊五郎は両刀みたいだし、無くもない……か?


はまぐり姫

はまぐり姫


 はまぐり姫は蜃気楼を操るが、天外IIの台詞の中にもある通り、 その昔は大きな蛤が吐き出したものが作り出すものだと思われていたことが元ネタだろう。 蜃気楼と幻は似て非なるものであるが、「無い物を見せる」と拡大解釈したのだろう。
 もともとは「蜃の出す気が楼閣を作る」という意味で「蜃気楼」なわけで、 この「蜃(しん)」というのは中国の伝説の竜である。 しかしこの「蜃」という漢字のそもそもの意味が「はまぐり」で、 その「蜃」をこの竜の名前に転用してしまったせいで、 「でかいはまぐりがやってんだ〜」と誤解された結果、 蜃気楼=はまぐり説が広まってしまったらしい。 他にも「はまぐりが蜃気楼を発生させるという面白さ」という娯楽、 「はまぐりを売るための宣伝文句」という商売的な関係で流布されたことが大きいと思われる。 はまぐり自体は全然脅威じゃないから恐れて人が寄り付かなくなるということも無いしね。 はまぐり姫が普通に竜だったら、強くて大変困ったかもしれない。


化け地蔵

化け地蔵


 地蔵といえば仏教における菩薩の一尊。 道端に佇む像が多く、最も身近な仏といえるだろう。 実の所は釈迦の死後、弥勒菩薩が現れるまでの間(5億年〜56億年ほど。仏教は時間の単位がおかしい)、 六道の全世界を任された大スケールの菩薩。 というわけで日本中の道端にいるのは地蔵菩薩本来の目的に近い理想的な状態と言えそう。
 で、そんだけ身近なお地蔵様なので、わりと地蔵に関わる昔話は多く、 天外IIにおける化け地蔵が何を元にしたのかはちょっとわかりません。 江戸後期の子供向けの版画『しん板化物尽し』(芳盛)にまさに「化け地蔵」という絵があるようですが、 絵だけなので詳細は不明。これの絵が近いといえば近い。


人喰い鳥

人喰い鳥


 怪火の一種、「ふらり火」が元ネタと思われる。 特に炎の描き方が『図画百鬼夜行』(鳥山石燕)のものと似ている。 「ふらり火」は浮遊する炎の中心部に翼と鳥の足を備えた異形の顔の生物が居るといった感じだが、 天外IIではこれを「完全に鳥」にしている。 ふらり火自体の説話は特にないため、こいつがどのような存在なのかは不明。 バックにある炎が印象的で、個人的には「火喰い鳥」だとずっと勘違いしていた。


火ねずみ

火ねずみ


 中国に伝わる怪物「火鼠(ひねずみ)」が元ネタか……? なんというか、あまりにも名前が安直過ぎて「これが元ネタだ!」と断言しにくい。 昔の書物の挿絵で見られる「火鼠」は完全にただの鼠にしか見えないので余計にそう思う。 ただし、体重は250kgもあるクソデカ鼠らしい。 絵を見て「火だな……火の……鼠みたいだから火ねずみでいいか」くらいの雰囲気を感じる。


火吹き

火吹き


 『百鬼夜行絵巻』と言われる絵巻によくいるやつが元ネタだろう。 三つ目、火を吹く筒、頭に乗せた五徳、手足と服の感じが実に近い。 元ネタのほとんどは五徳の先に炎がゆらめいているが、天外IIでは頭髪すべてを炎に見立てているようだ。
 後に鳥山石燕が『百器徒然袋』で「五徳猫」と名付けて描いているが、 その名の通り三つ目の怪物ではなく猫になっているので「五徳猫」は関係ないと思われる。 『百鬼夜行絵巻』が一次創作だとすれば、「火吹き」も「五徳猫」も二次創作なので、 二人は兄弟のような関係といえる。


ふくべ

ふくべ


 『百器徒然袋』(鳥山石燕)にいる「瓢箪小僧(ひょうたんこぞう)」が元ネタか……? ただ、元ネタというほど容姿が似ているわけではない。というか全く違う。 頭が瓢箪っていうことくらい。 「ふくべ」というのは「ひょうたん」の別名で、 天外IIのふくべは特殊行動の一つに「頭をカラカラ鳴らした(その他の敵一体参戦)」 というものがあるので、瓢箪で出来た楽器の付喪神的な存在っぽい根の一族なのだろう。


伏雷

伏雷


 『古事記』(太 安万侶:おおのやすまろ)に登場する神の一柱。 死んだイザナミの右足に発生したのが「伏雷」。 「フシイカヅチ」または「フスイカヅチ」と読むこれが元ネタか? 原始の神はとにかく何かしてもしなくてもどんどこ神を生み出すもので、 イザナミの死体からは「伏雷」の他に七柱、合計八つの雷神が生まれている。 それぞれが雷の性質を表すものだろうと推測されるだけで、 特にどういう神なのかはよくわからない。 この中でなぜ伏雷だけを選んで登場させたのか? また、雷神は龍や蛇と関連付けられる事が多いが、容姿はそのどちらでもない。 ぶっちゃけ伏雷の顔がどうなってるのか、拡大してもイマイチよくわからない(舌を出している?)。 服装は中華系の雰囲気を感じる。謎の多い根の一族である。


ふすま

ふすま


 「衾(ふすま)」と呼ばれる妖怪が元ネタだろう。 特に漫画『うしおととら』(藤田和日郎)四巻、第7章「ヤツは空にいる」に登場した「衾」によく似ている。 収録されているコミックスの発売日が1991/05/18、天外IIの発売日が1992/03/26。 雑誌掲載はもっと前にあるわけなので、ギリギリ無くも無い可能性を感じる。
 衾は土地によって色んな説があるが、 その大まかな性質は「空からふってきて覆いかぶさってくる」といったもので、 口を塞いで窒息させられる危険なやつ。「一反木綿」と同種の妖怪だと思われる。 どんな名刀でも切れないがお歯黒を塗った事がある歯なら噛み切れるという。


フッコ

フッコ


 青森、岩手辺りに伝わる妖怪「経立(ふったち)」の別名「フッコ」が元ネタか? 「経立」は年を経て妖怪化した動物の事を言う。 猿、鶏、魚など大体どんな動物でもなることがあるらしい。
 天外IIのフッコは非常に耳が長く、尾が白い。 一体何の経立なのかイマイチよくわからない。まさか兎か……?


震える細腕

震える細腕


 『今昔画図続百鬼』(鳥山石燕)にある日本の妖怪「震々(ぶるぶる)」が元ネタか? 全ての描線をぐにゃぐにゃと描くことで震えを表現していて面白くもわかりやすくて関心する絵である。 恐怖を感じてぞっとするのはこの妖怪のせいなんだそうだ。
 天外IIの震える細腕と震々にそれほどの似た感じは無いが、 「震える」っていう言葉がある妖怪はこいつが一番有名なので。


水鬼

水鬼


 『太平記』における藤原千方(ふじわらのちかた)の四鬼(よんき)のうちの一人が元ネタか? 四鬼は金鬼(きんき)、風鬼(ふうき)、水鬼(すいき)、隠形鬼(おんぎょうき)。 水鬼はどこでも洪水を起こせるというとんでもない能力を持っている。 朝廷に反乱を起こした藤原千方を討伐に来た紀朝雄(きのともお)の和歌でいずこかへ去ってしまったらしい。 どーいうこっちゃ?
 『書画五拾三駅 近江土山千方之邪法』(芳虎)にその姿があるが、想像する通りのただの青鬼である。 天外IIではかなり爬虫類寄りのバケモンといった感じで見た目はかなり違う。やけに小物だし。 水系(天外IIでは氷系しかない)の術を使う事は近いが、 水鬼って名前つけたらそりゃそうなるよねといった感じである。


ミズチ

ミズチ


 「蛟(みずち)」は日本の神話や伝説で水関連の竜や蛇の姿の水神としてよく見られる。 水(ミ)の(ズ)蛇、霊(チ)という感じでミズチらしい。 『日本書紀』や『万葉集』に登場する。基本的に悪者扱い。
 天外IIのミズチは前後に頭があるという独特な姿だが、 世界中の蛇系の怪物を調べてもこのような姿の蛇は居ない。 独創的で面白いデザインである。


ムラサ

ムラサ


 『海村生活の研究』(柳田國男)に登場する隠岐の海の怪異「ムラサ」が元ネタか? 夜光虫で光る潮の中でも特に丸く集まって光るやつがムラサで、 こいつに近づいて憑りつかれる(?)と、舟が進まなくなってしまう。 艪の海面を刃物で数回斬り付けてやると進めるようになるらしい。 船幽霊と同一視されることもあるが、 海上の怪異は大体船幽霊扱いされることがあるらしく、その一種だと思われる。
 調べてみてもかなり情報が無いらしいことがわかる怪異で、 隠岐には所々に民話や伝説の案内板が二十二か所も設置されているらしいが、 その中すら入っていない。 なので、「元ネタか?」とハテナマークをつけたわけです。 製作者の中に柳田國男の書籍をよく集めていた人でもいたかなにかといった所だろうか。 柳田國男は『遠野物語』などで知られる民俗学の祖と言われる人で、 妖怪関係を調べていたら嫌でも目に入る重要人物である。 天外IIのモンスターの名付けに資料を集めている中に柳田國男の書籍があっても不思議ではないと思う。
 そんな無名怪異ムラサなので絵なども残されていないが、 天外IIのムラサは「夜光虫の特に丸く集まって光るやつ」 という特徴をよくとらえているデザインになっていると思う。 夜光虫にこんな目は無いけど。 ただ、それなら海上に出せよと思わなくもない(富山城に出現する。陸であるばかりか室内である)。 天外IIの敵の出現場所は名付けと無頓着なことが多いのがちょっともったいないと思う。


冥府の猟犬

冥府の猟犬


 首が三つある犬といったらもうギリシア神話の「ケルベロス」が元ネタでしょう。 ギリシア神話ではハデスの支配する冥界の番犬で、テュポンとエキドナの子。 先に紹介したメデューサのひ孫に相当する。
 天外IIで大江山に出現する意味はわからないが(黄泉平あたりならまだわかるのに)、 ケルベロスは三つ首以外に「蛇(竜)の尾」という特徴もあるらしいので、 もう完全にケルベロスモデルだと思う。


メズノ王

メズノ王


 馬の頭を持つ鬼で地獄の獄卒(亡者を苦しめる役)の一人、馬頭(めず)がモデルだと思われる。 牛頭とセットで「牛頭馬頭」と表現される事が多い。 天外IIでもゴズノ王とセットで出てくる事から間違いないだろう。 地獄の管理人の一人なので妖怪というより神仏の類なのかもしれない。


モウリョウ

モウリョウ


 『今昔画図続百鬼』(鳥山石燕)の「魍魎(もうりょう)」が元ネタだと思われる。 体格は三歳の子供程度で色は赤黒い。赤い目と長い耳に美しい髪を持つ。 好んで亡者の肝を食べる……と解説文がある。 美しい髪……は見当たらないが、天外IIのモウリョウと近いと思う。
 一方「魍魎(もうりょう)」は様々な妖怪、魔物、怪物の総称のような使い方もある。 「魑魅」が山林木石の精霊であるのと対に、川や水系の精霊ともされる。 なので「魑魅魍魎」で「あらゆるばけもの」みたいな意味になるわけだ。 ……というのが日本における魍魎の大体の説明になるが、 中国には「罔両」と書いて「もうりょう」と読む怪物がいて、 中国の本『淮南子(えなんじ)』では罔両について 「三歳の子供のようで色は赤黒い。赤目で長い耳に美しい髪を持つ」と記し、 同じく中国の本『本草綱目(ほんぞうこうもく)』では「亡者の肝を食べる」と記されており、 『今昔画図続百鬼』では両方の罔両の特徴がそのまま記されていることがわかる。 この中国の「罔両」に「魍魎」の漢字を当てた……もしくは読みが同じで混同した? のが『今昔画図続百鬼』における「魍魎」だと思われる。


燃え髪

燃え髪


 燃えるような髪? 燃えているような髪? 炎が髪のよう? という特徴から……「姥ヶ火(うばがび)」が元ネタじゃないかなと思う。 姥ヶ火はわりと有名な怪火の一つで、多くの古い書物に言及がある。 火の玉の中に老婆の顔がある絵で表される。 各地に伝承があるが「罪を犯したババアの成れの果て」というが大体の顛末だ。
 天外IIの燃え髪の性別はいまいちわかりにくいが、 ジパングの男性は髷を結っているので、男性ならこのような形にはならないだろう。 あまり老婆には見えないが。


ヤタガラス

ヤタガラス


 『百鬼夜行絵巻』と言われる絵巻によくいるやつがデザインの元ネタだろう。 舞楽で被る「鳥兜」から鳥の体が生えて飛んでいる。 見た目がほぼ同じで色彩にアレンジが加えられている。
 名前の「ヤタガラス」は「八咫烏(やたがらす)」が元ネタだろう。 八咫烏は日本神話において神武天皇を大和まで案内したとされる三本足のカラス。 熊野三山ではシンボルにもなっている(このことは天外IIでカラスがイヒカの民と共に紀伊に来て熊野神社を興したというあたりの話に通じる)。 「咫(あた)」は長さの単位で1咫は手を広げた時の中指〜親指の距離(約18cm)になるが、 八咫烏の「八咫」は単純に「大きい」という意味らしい。 確かに鳥系の敵としてはかなりサイズが大きく、初見はちょっとビビる。 しかしなぜ三本足でもなく(というか足が見当たらない)カラスでもないこいつに「ヤタラガス」という名前をつけたのか甚だ疑問だ。


ヤト

ヤト


 『常盤国風土記(ひたちのくにふどき)』に登場する神「夜刀神(やとのかみ,やつのかみ)」が元ネタだろう。 夜刀神は頭に角のある蛇とのことなので、おそらく間違いない。 その姿を見た者は一族もろとも滅ぶとかいうとんでもなくヤベェやつ。
 「常陸国(ひたちのくに)」は今の茨城県あたり。その中の行方(なめかた)郡(今の行方市)の湿地帯に居たらしい。 その湿地帯の開墾の歴史に出てくること。 蛇は水系の神とされていることが多い事などから察するに、 それこそ「一族が滅ぶ」ほどの洪水に困っていた当時の様子がこの夜刀神という形で語り継がれているのだろう……と思う。
 前作天外Iでちょっとズレているが筑波に出てくる、デカイ、アニメーションするということで、 記憶に残っている人も多いであろう雑魚敵。なんでこいつが火多にもいるのか……謎である。


闇の乙姫

闇の乙姫


 姿は人魚。名前は「浦島太郎」の竜宮城に居る乙姫様が元ネタか。 人魚は天外IIに存在しているのでそれでいいでしょう。 はまぐり姫以外にもダークサイドに落ちた人魚がいたということなのか? もしくは強化改造の果てに人魚に似た形態になっただけの根の一族とも考えられるか。
 ちなみに「乙姫」は本来であれば王に複数いる娘、 つまり姉妹のうちの妹の姫のことを「乙姫」というらしい。 あまり考えたくない説だが、ヤダキの娘は二人以上居て、 人魚ちゃんの妹がこいつになったという考え方も出来なくもない。 ただしこの説は「数が多すぎる」という点で否定出来るかと思う。
 人魚に関しても、浦島太郎の乙姫に関しても、 詳細を書くにはその話の変遷が非常に複雑、冗長、長大、脱線が過ぎる感じになりそうなので、 もうこれ以上触れない事にしたい。


妖虎

妖虎


 中国に居る妖怪の類らしい。 虎は日本には居ないが、中国ではわりと身近な脅威で、 「虎に喰われるのは運命で決まっている」と、諦めに近い考え方がよくあったらしい。 そうともなれば虎に関わる伝承伝説も多くなるのも当然というわけだ。 特に「妖虎」と呼ばれる妖怪の類が居るというよりも、 それらの伝承に出てくる虎由来の怪物を「妖虎」といっているっぽい。 年を経て人に化ける力を持った虎、または虎の神的存在といったものが多い。
 天外IIの妖虎がそのうちどんなものに当てはまるのか……いまいちよくわからない。 下半身が骨という妖怪や怪物は虎以外でもあまり見かけない。 虎の妖怪だから妖虎と名付けたと考えるのは安直過ぎるだろうか。


ろくろ亡者

ろくろ亡者


 いわゆる「ろくろ首」を元に亡者にしたのがこやつだろう。 ろくろ首といえば首がやたらに長い人 ……という事以外に特に害悪は無くただ不気味なだけなことがほとんど。 人知れず伸びている、こっそり見たら伸びていた、寝ている人の首が伸びていたなど、 誰もいないときに一人で伸ばしている事が多いせいで害がないのだ。 理由は謎だが女性であることが多いので、男であろうろくろ亡者は珍しい。
 中国には「飛頭蛮(ひとうばん)」という「夜に首だけが胴体から離れて飛び回る」妖怪、 またはそのような国の人の伝説がありこれがろくろ首の元ネタだと思われる。 実際に『図画百鬼夜行』(鳥山石燕)では「飛頭蛮(ろくろくび)」とルビが振ってあるし、 ろくろ首の古い話では「首が伸びる」ではなく「首だけが飛ぶ」という話が多い。 「首が伸びる」ようになった背景には飛頭蛮の絵を描く際に 首と胴が同一人物のものであることを明示するために細い線でつなげて描いていたのを 真似て描く際にだんだんこの線が太く、 普通の首が伸びているかのような絵になっていったものと思われる。 『図画百鬼夜行』のろくろ首は糸と首の中間のようなほそ〜い首でつながっている。
 ちなみに「ろくろ」の由来はいまいちはっきりしない。 「轆轤(ろくろ)」は回転系の装置、滑車や輪転機の別名らしい。 体から伸びる首が車井戸の滑車と釣瓶の関係(←これが轆轤)に似ているから……という説が個人的に一番納得がいくかなと。